ビリヤードのコツ / 基礎知識
スリークッションの基本
最初は3つだけ見てください。自分が撞くボール、先に当てるボール、そしてクッションを経て最後に当てるボールです。
スリークッションのルールと得点
手球は、自分がキューで撞くボールです。白球と黄球を1つずつ各自が使い、残りの2つのボールが的球になります。赤球は常に的球です。
得点する順番の一例
- 1第1的球に当てる
- 2クッション1回
- 3クッション2回
- 4クッション3回
- 5第2的球に当てる
ファウルがなければUMB基準で1点。クッションに先に当ててから2つの的球に当ててもかまいません。大切なのは、第2的球に当たるまでにクッションへの接触が合計3回以上あることです。異なる3つのクッションに当てる必要はありません。
- 得点すれば続けて撞き、失敗すれば相手の番です。1回の番で続けて撞ける機会をイニングといいます。1イニングで何回も撞くことができます。
- アベレージ = 得点 ÷ イニング。たとえば20イニングで12点なら0.600です。これをハンデの点数や実力のパーセンタイルに一律に換算することはできません。
- 国際式の大台(マッチテーブル)のプレー面は約2.84 × 1.42 mです。レールのダイヤモンドとコーナーを基準に、長い辺は8マス、短い辺は4マスで読みます。中台など他の規格と区別してください。
基本の得点:WCBS スリークッション紹介 ↗ · 台の規格:UMB 第11条 ↗
試合の進行とファウル
以下の進行・配置の説明はUMBキャロムルールに基づいています。PBA・LPBAやクラブには独自の方式があるので、始める前に適用するルールを確認してください。
バンキング:誰が先に撞く?
各自が向こう側の短クッションへボールを送ります。戻ってきたボールが手前の短クッションにより近い選手が、先攻を選ぶ権利を得ます。相手のボールや赤球との衝突など、細かい判定は審判が行います。
初球:最初のショットだけの配置
赤球は上のスポット、相手の手球はスタートラインの中央のスポット、自分の手球はスタートラインの左右の指定スポットのどちらかに置きます。最初のイニングの先攻は白球で、初球は赤球に直接先に当てます。
ファウル:そのショットの得点は認められません
動いているボールを撞く、別の手球で撞く、手や服などでボールに触れる、ボールが台の外に出る、両足が床から離れた状態で撞く、などがファウルです。番が相手に移ります。
プッシュショット ≠ 押し球
タップが手球に2回触れたり、手球が他のボールやクッションに当たるまでタップが付いたままだとファウルです。前進回転を使う正常な押し球とは違います。
くっついたボール:すべてを初球の配置に戻すわけではありません
スリークッションで再配置を選ぶと、くっついているボールだけを動かします。そのまま撞く場合は、くっついていないボールやクッションに先に当てる方法などがあります。手球がくっついているクッションに向かって直接撞いてはいけません。まず審判に確認してください。
ボールの台外:出たボールだけを再配置
赤球は上のスポット、撞く番の手球はスタートラインの中央、相手の手球は台の中央です。その位置がふさがっている場合は、ふさいでいるボールに対応するスポットを使います。空いている任意のスポットには置きません。
UMB 第22–28・41条:バンキング・初球・くっついたボール・台外・ファウル ↗。くっついたボールのマッセなどの例外や実際の判定は、原文と大会規定に従います。
テレビの試合とクラブのゲームは何が違う?
UMBの基本の得点は1点、PBA・LPBAでは空クッションで正常に得点すると2点です。目標点数、セット数、ショットクロック、タイムアウト、後攻の追加イニングの有無は、大会・ラウンドごとに確認が必要です。「いつも40秒・40点」と覚えないでください。クラブでは、ハンデや終了方法、空クッションの点数を事前に決めておきましょう。
よく使う用語
- 手球/第1的球/第2的球
- 自分がキューで撞くボール/先に当てる別のボール/あとで当てる残りのボール。的球の1・2は色ではなく、当てる順番です。
- バンクショット(空クッション)
- スリークッションでは、最初の的球より先にクッションに当てるショットです。先攻を決める「バンキング」と区別してください。
- キス
- 軌道の途中でボール同士が再び出会う衝突のことです。望まないキスで道筋が変わることはありますが、キスそのものはファウルではありません。
- 厚み
- 狙う方向から見た、2つのボールの重なり具合です。正面は1/1、半分重なるように当てると1/2です。下の図の点線のボールを見てください。
- 撞点/タップ数
- 撞点は、タップが手球に当たる位置です。「何タップ」は中心からずらす量を表しますが、教材の目盛り・タップの基準をまず確認する必要があります。すべての資料を同じmmに換算しないでください。
- 無回転/スタン
- 無回転は、ふつう横回転をかけないという意味で使います。スタンは、的球と衝突する瞬間に前進・後退の回転がない状態です。中心を撞いたからといって、いつもスタンになるわけではありません。
- 順ひねり/逆ひねり
- 当たるクッションに沿って進む方向を助ける横回転が順ひねり、反対に働くのが逆ひねりです。同じ右の撞点でも、どのクッションにどう入るかによって役割が変わります。
- ダイヤモンド/クッションの接点
- ダイヤモンドはレール上の目盛りで、クッションの接点はボールが実際に当たる所です。この2つは違う位置です。システムごとの出発・狙い・到達の番号体系も確認してください。
基本の軌道5つ
名前より先に、「どのボールに当てて → どのクッションから → どのボールに来るか」を言ってみましょう。長クッションは長い辺、短クッションは短い辺です。同じ長→短→長でも、ボールの配置と回る方向によって違う軌道になります。
2つの図は、クッションの順番だけを読む概念図です。的球との衝突・回転・速度は省略しているので、特定の配置の狙い所や得点の予測には使いません。
前回し
手前のコーナーへ回っていく道筋を組み立てます。すべての前回しを「厚み1/2・無回転」で撞くわけではありません。まずその配置の基準線を確認してください。
外し
的球を外して当てた後の手球の道筋を使います。「薄く当てる」という言葉だけでクッションの順番が決まるわけではありません。短い道筋か大回転かも区別してください。
横断ショット(クロステーブル)
向かい合う長クッションの間を往復する道筋です。クッションに当たる回数を数えつつ、実際の厚み・撞点は球の配置に合わせて決めます。
ファイブアンドハーフをボールに当てるショットに応用するときも、的球との衝突後の出発線と回転の状態を確認する必要があります。空クッションの計算値を最初の手球の位置にそのまま当てはめないでください。
撞点:回転と押し球・引き球
- 方向と量は別々に読みましょう。「3時」は右方向という意味で、最大の回転という意味ではありません。中心からどれだけずれているかも見ます。
- 上は前進回転、下は後退回転を与える撞点です。正面衝突を例にとると、衝突時に前進回転が残っていればついていき、後退回転が残っていれば引き戻されます。下を撞いても、遠くまで転がるうちに後退回転が消えることがあります。
- 左右の撞点は横回転を生みます。クッションでの反射方向に影響しますが、「右ならいつも長く」というわけではありません。進入角・速度・クッションに当たるときに残っている回転が一緒に作用します。
- 横回転をかけると、最初は撞点の反対側へ押し出されることがあります(スクワート)。キューが持ち上がっていると、その後に曲がる現象(スワーブ)も起こります。最初は横回転を控えめにして、狙いを繰り返してみてください。
- 「半径の半分」は、チョークをしっかり付けたタップのミスキューの限界を説明するときに使う大まかな目安です。安全を保証する線でも、初心者が目指す撞点でもありません。中心の近くを正確に撞くことから練習しましょう。
Dr. Dave:撞点の高さと回転 ↗ · 横回転の効果 ↗
システムごとに基準の撞点と速度が違います。ファイブアンドハーフも、その記事の条件をまず確認し、1回に1つずつ変えてください。
ボールを撞いた直後:移動 → 滑り → 転がり
キューの先端は、ごく短い衝突で手球に速度と回転を与えます。前に進むことと、その場で回ることは別の運動です。下は、横回転なしで水平に近く、ボールの中心を撞いた例です。
① 中心を撞いた直後
② 滑りながら回転
③ 自然な転がり
「最初は転がらずに進む」という言葉の範囲
上の中心撞きでは、回転がほとんどない出発を説明できます。しかし上や下を撞くと、撞いた直後から前進・後退の回転が生まれます。「滑る」というのは「回転がまったくない」という意味ではありません。ラシャに接しているボールの底が滑っているかどうかを区別してください。
下を撞いた場合も、的球に当たらずに十分進めば「後退回転 → 前後の回転0 → 前進回転 → 自然な転がり」と変わることがあります。決まった何cmで変わるのではなく、出発の速度・撞点・ラシャの摩擦によって変わります。あとから回転をかける動作はありません。
最初の的球に当たったあとは何が変わるのでしょうか?
今度は同じ大きさ・質量のボールに正面から当てる例です。手球の前進運動のかなりの部分が赤い的球へ伝わります。手球に残った前後の回転がラシャの摩擦と作用して、ついていったり、止まったり、戻ってきたりします。大切なのは、最初の撞点の名前よりも的球に当たる瞬間の回転です。
前進回転 → ついていく
- 点線:手球の出発
- 赤:的球の移動
- 黄:衝突後の手球
前後の回転0 → 止まる
- 点線:手球の出発
- 赤:的球の移動
後退回転 → 戻ってくる
- 点線:手球の出発
- 赤:的球の移動
- 黄:衝突後の手球
白いボールは出発する手球、赤いボールは第1的球です。黄色の矢印は衝突後の手球の道筋です。2つのボールだけを置いた原理の練習なので、第2的球は省略しました。実際には衝突による損失があり、厚みを外して当てると手球は横に分かれるので、上の正面の例をそのまま当てはめないでください。最初は止まっていた的球も、衝突後は滑りながら動き出し、ラシャの摩擦で転がるようになります。衝突の摩擦で回転が伝わることもあります。
原理の参考:Dr. Dave:滑りと転がり ↗。ボールの衝突後の角度は厚みと分離角に続きます。
実践活用:ショート・ロングのフォローと突き抜けショットの配置練習 →スクワートとカーブ:出発がずれる vs 移動中に曲がる
横回転をかけようと中心の左右を撞くと、キューを向けた線とボールの実際の道筋が変わることがあります。下は右撞点で、キューの後ろ側が少し持ち上がったショットの例です。
① スクワート(Squirt)
先端と手球が衝突するとき、ボールが横の撞点の反対側へ出発する現象です。右撞点ならプレイヤーから見て左へ、左撞点なら右へずれます。横の撞点の量と、キューのシャフトの特性が影響します。
② カーブ/スワーブ(Swerve)
持ち上げたキューで横回転をかけると、傾いた回転軸とラシャの摩擦によって、進む途中で道筋が曲がります。右撞点のこの例では、プレイヤーから見て右へ曲がります。キューが持ち上がるほど、横の撞点が大きいほど大きくなり、速いショットでは曲がりが遅れて現れます。
2つが打ち消し合うこともありますが、いつも元の狙いの線に戻るわけではありません。距離・速度・撞点・キューの高さ・ラシャの状態によって結果が変わるため、「右回転はいつも何mm補正」とは覚えられません。横回転があるだけで円を描き続けるわけでもありません。自然な転がりに入ると、理想的な平らなラシャの上ではまっすぐ進みます。
初心者向けの観察練習
- 手球1つで中心の撞点を3回撞き、まず出発の線を確認します。
- 同じ位置・目標・楽な速度を保ち、右の横撞点を少しだけ加えて3回比べます。キューはできるだけ水平に近く保ちます。
- 出発直後の方向と、遠くでの位置を別々に見ます。区別しにくければ上から撮影して、ゆっくり確認してください。現象を大きく見せるために、キューを持ち上げすぎる必要はありません。
参考:Dr. Dave:スクワート・スワーブ・スローの影響 ↗。的球が衝突の摩擦で方向を変える「スロー(Throw)」は、ここで説明した手球のスクワート・カーブとは別のものです。
厚みと分離角
黄色の点線は手球の中心が通る狙いの線、半透明のボールは衝突の瞬間の手球の位置です。厚み1/2では、狙いの線が的球の端を通ります。
| 厚み | 第1的球の進行角 | 手球の角度 (スタン) | 手球の角度 (完全な転がり) |
|---|---|---|---|
| 正面(1/1) | 0.0° | 止まる | ついていく |
| 厚み3/4 | 14.5° | 75.5° | 27.6° |
| 厚み1/2 | 30.0° | 60.0° | 33.7° |
| 厚み1/4 | 48.6° | 41.4° | 27.3° |
90°:2つのボールが分かれる角度
スタンは、衝突の瞬間に前進・後退の回転がない状態です。正面衝突を除けば、2つのボールの進行方向は理想的には直角になります。厚み1/2では、元の進行線を基準に的球30°と手球60°が両側に分かれ、合計90°です。
約30°:転がる手球の方向の変化
衝突前に自然に転がっていた手球は、衝突後に前方へ曲がります。厚み1/4〜3/4の範囲では、その後の進行方向が元の線から約27〜34°ずれます。どの厚みでも正確に30°という法則ではありません。
中心の撞点で撞いても、ラシャとの摩擦で転がり始めます。そのため「中心を撞いたから60°」とは断定できません。ボール間の距離と速度も見てください。実際の衝突の摩擦と回転は表の理想的な角度を変えることがあり、いつも2°を引くような補正はしません。
Dr. Dave:スタンの90°ルール ↗ · 転がるボールの約30°ルール ↗。ポケットビリヤードの教育資料で扱うボールの衝突の原理を参考にしたもので、スリークッションの全軌道を保証する公式ではありません。
構えとストローク
目標は、楽な構えから、決めた線にキューを繰り返し送り出すことです。体格や目線の合わせ方は人によって違うので、あごや足をすべて同じ位置に無理に合わせないでください。
- 立った状態で狙いの線を決め、キューをその線に置いてから構えを低くします。構えたあとで狙いを大きく変える必要があるなら、立ち上がって構え直します。
- 前の手(ブリッジ)はラシャの上で安定させて支えます。指で輪を作って包む方法と、親指と人差し指の間でキューを支える方法のうち、楽なほうを身につけてください。長く伸ばすより、ぶれない長さが先です。
- グリップを強く握りすぎず、頭と体を静かに保ちます。素振りでキューが左右にぶれていないか確認してください。
- 準備した速度でなめらかに送り出し、自然に終えます。ボールを撞いた瞬間にキューを無理に止めたり、あとから力を加えたりしません。
- 撞いたあと少しの間構えを保ち、出発の方向を見ます。すべてのボールが止まるまで固まっている必要はありません。
フォロースルーは、すでに離れたボールをさらに押すわけではありません
ボールの出発は、タップが当たった瞬間の位置・速度・キューの方向と傾きに影響されます。タップとボールが離れたあとの動作が回転を加えることはありません。自然なフォロースルーは、良いストロークの結果であり、チェックの基準です。
Dr. Dave:基本の構え ↗ · フォロースルーの役割 ↗
最初にやってみる練習:同じ条件で5球
一人で練習するときは、手球1つを同じ位置に置き、横回転なしで向かい側のクッションの1区間へ送ります。5回の間、出発位置・撞点・目標を変えずに、到達位置だけを記録してください。誤差が繰り返されるなら、条件を1つだけ変えて比べます。このサイトが提案する反復練習で、公式の実力評価の基準ではありません。
ショート・ロングフォローと突き抜けショットを練習する →マナー
- 相手が狙っているときは、視界の前で動いたり話しかけたりしません。応援は撞くのを邪魔しないときに、レッスンやアドバイスは相手が望んだときにしてください。
- チョークの粉をラシャの上で払わず、台に座りません。キューを動かすときは周りの人との間隔にも気を配ります。
- 試合中にボールを勝手に触ったり、拭いたり、動かしたりしません。大会では審判に頼んでください。クラブでも、必要な対応は試合前に決めたルールに従います。
- ファウルに気づいたらすぐに申告し、番が終わったら相手が準備できるスペースを空けます。
- クラブの記録用のスコアボードの写真は、決めておいた記録のタイミングで撮ってください。写真を撮るために相手のプレーを中断させません。
マナーはクラブ運営のための推奨事項です。ボールへの接触に関する試合の判定は、上のUMBのファウル規定を参考にしてください。